「リースバック」ってどんな売却方法?デメリットはある?
「リースバックに興味があるけど、どんなものかわからない」「リースバックにはどんなメリットがあるの?」など、リースバックについて疑問を持っている人は多くいます。自宅を売却した後も住み続けられるリースバックは、活用方法によってはメリットも多くあります。この記事ではリースバックの仕組み、メリット・デメリットを解説します。
リースバックはどのような仕組みで成立しているのか
リースバックとは、自宅を売却した後に家賃を払って住み続ける取引方法のことです。リースバックの仕組みは、まず不動産会社などのリースバック業者に①家を売却し、②売却代金を受け取ります。このとき、住宅ローンが残っている場合は、受け取った売却金額で住宅ローンを完済します。
その後、リースバック業者と③賃貸借契約を結び、毎月④家賃を支払うことで定められた期間の間住み続けます。「定められた期間ってどのぐらいの期間なのだろう」と疑問に思われる方も多いかもしれません。多くの場合、2~3年の定期借家契約を結びます。ふつう家を借りる場合は、賃貸期間が決まっていても更新ができますが、定期借家契約では、決められた賃貸期間が終了すれば、原則として契約の更新はされません。
つまり、売却後も同じ家に住めるとはいえ、契約によっては2.3年で退去しなければいけない場合があるということです。リースバックでの家の売却価格は、相場の7~8割ほどといわれています。これは、リースバック業者が「家賃滞納」や「買い戻し特約のために自由に売却できない」というリスクを抱えている点に起因します。また、1か月の家賃は買取価格のおよそ7~13%ほどといわれています。
売却した後も住めるのが一番の強み
リースバックには、いくつかのメリットがあります。利用する前にしっかりと確認しておきましょう。ここでは2つのメリットについて解説します。まず1つ目のメリットは「現金が手に入るまでの期間が短い」ということです。リースバックの最大のメリットは、現金がすぐに手元に入る点です。
不動産売却の場合、買い主が見つかるまでどのくらいの期間がかかるかわかりません。また、煩雑な手続きや引越し費用、諸経費などが必要です。それに対し、リースバックは不動産会社に直接買い取ってもらうケースがほとんどのため、期間を空けずに現金を手にできます。すぐに大きなお金が必要な場合などには、売却よりもリースバックのほうがよりメリットが大きいといえるでしょう。
2つ目のメリットは「売却した後も住める」という点です。リースバックの特徴でもある、売却した後もそのまま住み続けられるという点も大きなメリットのひとつです。物件を売却する際に、売買契約を結ぶと同時に定期借家契約を結びます。これにより、売り主から借り主となり、そのまま居住し続けるための権利を得ることができます。引越しの必要がないため、家族で暮らしている場合などは子どもの転校や勤務先への通勤時間に変更がない点もメリットといえるでしょう。
リースバック利用時の注意点とは
メリットが多くあるリースバックではありますが、もちろん注意点もあります。その内容について、ご説明します。まず1つ目は「売却金額が相場以下になることが多い」点です。リースバックにおける売却金額は、周辺相場以下となることが多いでしょう。物件にもよりますが、一般的には、周辺相場の60~90%程度になると考えておきましょう。
周辺相場よりも低くなる理由はリースバック業者が、賃料収入を得る投資用不動産として査定し、利回り重視で考えるためです。また、リースバック期間終了後の不動産市場に変化が生じている可能性もあるため、その損失回避も考慮した買取価格となります。
2つ目の注意点は「リース料(家賃)が相場より高くなることが多い」ということです。リースバックをすると、リース料(家賃)が周辺類似物件よりも高く設定される可能性があります。物件にもよりますが、リース料(家賃)の目安としては、売却価格の8~10%程度と考えておきましょう。リース料(家賃)は、周辺家賃相場から設定されるのではなく、あくまでリースバック業者の買取価格に対する利回りを考慮して設定されるためです。
メリット・デメリットを比較して選ぼう
リースバックには多くのメリットもありますが、同時に注意点もあります。リースバックを検討する際には、上記したような点に注意して検討するようにしましょう。
たとえばもしあなたが、自宅に愛着もあり、子どもの学区を移したくない等、引っ越しをしたくないものの一時的にまとまったお金を必要とするという事情がある場合は、リースバックの活用を検討してみるとよいでしょう。その際、将来買い戻しも視野に入れるのであれば、売却時よりも高値で買い取れるための具体的な資金計画と覚悟も必要です。
将来まとまったお金が入る見込みがあるか、仕事をしている現役世代であれば定期的な収入があるので、自宅再購入の可能性も含めてリースバックは向いているといえます。そのほか、自宅には住み続けたいものの、自宅を相続する者がいないという方にもリースバックはおすすめです。自宅をあらかじめ分割しやすい現金に換えておくことで遺産分割を円滑に進められ、かつ空き家の発生を予防することもできます。
ここまで「リースバック」について「リースバックはどのような仕組みで成立しているのか」「売却した後も住めるのが一番の強み」「リースバック利用時の注意点とは」「メリット・デメリットを比較して選ぼう」という4つの観点から解説しました。リースバックには多くの利点があります。ぜひあなたの状況に合わせて、リースバックの活用を検討してみてください。